「みんな知りたい!リンケージ今週のひみつ」は
放課後等デイサービスそらまめ2からです。
今週のテーマは「表象」です。
そうです。年に何度かやってくる、
なんか難しそうな漢字シリーズです。
前回、内垣がお届けしたのは、
「じってきそくいん の 情(by孟子)」でしたね。
(私も漢字は忘れてしまった・・・)
特に反響があったわけでもないのですが、
自分が読んでまぁまぁ面白かったので、また書きます。
今回は、哲学用語の「表象」です。
みなさんは、「表象(ひょうしょう)」って、聞いたことありますか?
言語学とか、心理学とか勉強している人にとっては、
大学生のころに、ちょっと、さわったことがある概念かもしれませんね。
さてさて、
最近、太田ステージという検査を触ってみて思いました。
太田ステージに出てくる「イメージ表象機能」という概念。
これ、なかなか凄いよね。
この「イメージ表象機能」なるやつ、、
太田ステージという検査の、中枢も中枢、
がっつり真ん中に存在してて、
その中でも「表象」という要素概念が
非常にうまーく検査としてマッチしとる、
と感じました。これはすごい。
でも、一方で、
思うに、普通に社会人として暮らしてきた人は、
「表象、なにそれ、おいしいの?」状態と思われました。
医療福祉業界では、あんまり、なじみのない概念かもしれません。
というわけで、少しだけ、この概念「表象」を説明させていただければ、
と存じます。少々、お時間くださいな。きいておくれやす。
「表象」というものは、「ひょうしょう」と読みます。
この表象という言葉は、
古代ギリシアのプラトンから近世のデカルトまで、
様々な言葉の翻訳語として使われてきました。
そのなかでも、太田ステージの「表象」は、
ピアジェやその考えを継承したブルーナーの
表象(representation)が、
この場合、もっともふさわしいでしょう。
さて、「表象」の意味ですが、
ブルーナーが言うことには、
「表象 = representation」は、re-presentation:再表示・再現を意味し、
「人間が環境に適応し生きていくためには、
環境からの情報を取り入れ、
その情報を将来使用する時に
再生できるような符号に変え、貯えるという行動。」
という意味をあらわしているとのことです。
少しやわらかい言葉にすると、
「考える」の材料とするために、
「もの」をイメージできるよう、
べんりな「ことば」や「マーク」などに置き換える。
という感じでしょうか。
その表象は、下記のように3つの段階を経て
発達とともに進化していく、とのこと。
1.動作的表象(体性感覚)
→2.映像的表象(視覚)
→3.象徴的表象(言語)
上記1.2.3.を詳しく言うと下記の通り。
1.動作的表象(体性感覚)
・最も初期に行われる表象
・動作(体性感覚)を頭に中に記憶し必要に応じてそれを使用すること
・実際の行為や活動を通して外界の事物を知る
・動作で環境に適応することは動物にとって必要不可欠であるが著しく柔軟性に欠ける
2.映像的表象(視覚)
・就学前期~小学校低学年の子どもに優勢
・環境からの刺激をイメージ(視覚)化し、そのイメージを保持し、実際に目の前になくても、それを想起し思考する
・平面的(二次元的)であり、実物や事象の表面的なものに限られる
・見る・聞くなどの実経験がないものに対しても思考できることが求められる
3.象徴的表象(言語)
・7~8歳頃より優勢・言葉や記号などの象徴を使って理解や認識をし、外界の事物について知る
・言葉の複雑さが思考の柔軟性・抽象性を高める
・実際の事物・事象にとらわれず、具体的な指示対象を持たない観念も表すことができる
・表面の奥にあるものを3次元的に思考することができる
*上記、表象のことに関しては、
福岡県認知神経リハビリテーション研究会主催定期勉強会第12回の資料より抜粋 001-12.pdf (kodomonoriha.com)
さてさて、表象の意味はお分かりいただけましたでしょうか。
皆様、分かったということにさせていただき、
具体的な、結論を申し上げます。
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とある児童の表象機能を評価することは、
その子の世界へのアプローチ方法を評価すること、と同義。
その子の世界へのアプローチ方法を評価することは、
その子の世界観を療育者が知ること、と同義。
その子の世界観を療育者が知ることは、
その子に、どうコミュニケーションを取れば良いのか、その方法が分かることと同義。
その子にどうコミュニケーションを取れば良いのか、その方法が分かることは、
その児童に対する構造化が、どうあるべきかが分かること、と同義。
というわけで、
太田ステージを使って、
お子さんの環境を、うまく構造化しちゃおう、
というご提案でございましたとさ。
めでたしめでたし。