みんな知りたいリンケージ今週のひみつは 就労移行支援(就リン)からです。
今回のテーマは「不思議なメガネ 〜色が体に与える可能性」です
先日、高崎市のNPO法人「iitoko」で行われた視覚過敏* の勉強会に参加して、イノチグラスを体験してきました。イノチグラスは、発達障がいや生きづらさを抱える人を視覚から支えることを目的として開発された眼鏡です。
目からの刺激、特に色の刺激は、私たちの生活に大きな影響力を持っています。スポーツ競技では、特定の色のゴーグルやカラーレンズによってパフォーマンスが向上することや、個々人に適した色があることが知られています。また、アーレンシンドロームと呼ばれる光刺激への過敏性から起こる読字障害は、その人に合った色の透明フィルムを通して文字を見たり、その人に合ったカラーレンズのメガネをかけたりすると、見る事の困難を解決できる場合があります。特定の色ではなく「その人に合った色」だというのが面白いところですが、色が心や体のパフォーマンスを向上させるメカニズムについてはまだ分からないことが多く、日本国内でも産学共同の研究が進められています。
午後の個別体験会では、実際に視覚過敏でつらさを感じている人たちが、目線のズレや物の見方を検査して、自分に合うカラーとプリズムレンズを選びました。例えば本が読みにくい、白い紙がまぶしい、外出するときにはサングラスが必要など…いろいろな悩みのある子が、自分に合った色のレンズを通して世界を見ると、体幹のバランスが良くなったり、文字がすらすら読めるようになったりするのです。この様子を目の当たりにして、私も自分に合うカラーレンズを試してみたくなりました。
私自身、実は以前からなんとなく「目がおかしい」という自覚がありました。やたらにまぶしく、動いている物を目で追うと落ち着かない感じがするため、スポーツ観戦やゲームを楽しむことができません。探し物が苦手で、目の前にある物もなかなか見つからないし、スーパーに入店すると、陳列してあるものが一斉に視野に入るため、何を買いにきたのか思い出せなくなったりするのです。
後日、富岡にある店舗で、2時間以上かけてレンズの調整をしていただきました。私には、ほとんど色味の感じられない薄いグレーのレンズが最も相性がよく、そのレンズを通して世界を見ると、頭の中のザワザワがすっと静かになる感じがしました。かけると静まり、外すとまたザワザワ‥なんとも不思議な体験でした。まだ手元には届かないのですが、このメガネで生活すると自分に何が起こるのか、今からとても楽しみです。ゆっくり時間をかけて確かめていきたいと思っています。
*光や色、動きなどに対して目が過剰に反応する状態を「視覚過敏」といいます。まぶしさは脳にとって「痛み」として感じられるそうです。この痛みへの反応としてエネルギーの多くを消費するので、慢性的な疲労状態となり、日常生活にも様々な支障が生じます。